日本や世界には色んな迷信がありますが、その中で「夜に靴をおろすのはダメ」という迷信を聞いた事はあるでしょうか?
日本では大分古くから、「夜に靴をおろす事はよくない」といわれ続けています。ですが実際は、夜に靴をおろしてはいけない理由を聞いた事がない人も多いでしょう。
なので今回は、なぜ夜に靴をおろす事はだめなのかについて紹介します。
新しい靴をおろすって、どういう意味?
夜に靴をおろすのがダメという話題の前に、1つだけ頭に入れておきたい知識があります。
それが、「新しい靴をおろす」の意味です。
日本語では、新しい靴を使う前に「おろす」と表現しますが、一体なぜなのでしょうか?
まずは「履く」ではなく、「おろす」という意味と違いについて紹介します。
新品の靴を玄関に出して使えるようにするという意味
結論からいうと、靴をおろすというのは新品の靴を玄関に出して使えるようにするという意味がこめられています。
ではなぜ、新しい靴を「出す」などではなく、「おろす」なのでしょうか?
その理由は、「玄関へあがる」という言葉と玄関の造りに意味があります。まず玄関は物件によって違いますが、段差がある造りの玄関も多いですよね。
当然ですが、靴はその下の段に置くのが普通です。
その下の段に置くという事は「下におろす」とされるので、「靴をおろす」と呼ばれるんです。
また「玄関へあがる」というのは「上がる」と表記するので、その段差の下に置くから「おろす」と呼ばれています。
漢字で書くとよく分かるおろすの意味
他にも「靴をおろす」の意味は、文字に起こしてみるとよく分かるといわれています。
例えば、他にも「おろす」という言葉を感じにすると、いくつか思い浮かぶ漢字はありますよね。「下ろす」の場合だと、上のものを下にするという意味が込められています。
なので、「屋根の上の物を下ろす」といったときなどに「下ろす」と表記します。
他にも「降ろす」だと「降りる」という意味で、「卸す」は問屋が商品を小売店に売り出すときに使います。靴の場合はどれにも当てはまらないので、「おろす」とひらがなで表記されるんです。
こういった漢字から、物事の意味合いを予測する事で知れる事もあります。
夜に靴をおろすのはダメ!3つの迷信とは?
「夜に靴をおろすのはダメ」といいますが、一体なぜ新しい靴を夜におろしてはいけないのでしょうか?
その迷信についての諸説はいくつかあって、古いものだと江戸時代までさかのぼります。中には、「幽霊に連れていかれてしまうから」といったような言い伝えがあったりもするんです。
ですが、それははたして本当に関係があるのでしょうか?
続いて、夜に靴をおろす事に関しての迷信について紹介します。
①死者に関係がある
夜に靴をおろす迷信1つめは、死者が関係している迷信です。
この迷信ができたのが、江戸時代あたりとされていて、なぜ死者に関係があるのかというとこういった事があります。
昔は街頭がなかったため、夜道を歩くことはほぼありません。
夜に外を歩くのは死者だけだとされていたため、そもそも夜に外出する事自体がありえないという事です。そして、夜に靴を履いて歩くのは大体お葬式などといった事が多いため、死者に関係があるとされています。
②長旅に関係がある
夜に靴をおろす迷信2つめは、長旅が関係している迷信です。
一見、長旅のどこになぜ縁起の悪さが感じられるかは、よく分からないと思います。長旅をするときは、靴がボロボロになるのを避けるために新しい靴で行く事もありますよね。
江戸時代頃も同じで、長旅に出る際には新しいわらじで長旅に出るのが普通だったそうです。
しかしそれは長旅の中、何らかの事件に巻き込まれるんじゃないかと予期しての事だと捉えられてしまいます。
何よりこれは先程の死者とも関連していて、長い死という道を歩かされる意味合いなどもあるそうです。
③夜逃げや犯罪に関係がある
夜に靴をおろす迷信3つめは、夜逃げや犯罪が関係している迷信です。
昔は夜にわざわざ新しい靴を履いて外に出るというと、どうみても後ろめたい事をしているイメージが強かったそうです。
そのため、夜逃げや犯罪をする前といった不吉な迷信が定着しています。
また、わざわざ夜に新しい靴を履いて外出する事が、危険な人だったり不審な人物というイメージも由来だそうです。
こういった夜に出歩くというシチュレーション自体、昔からあまり良く思われなかったのでしょう。
新しい靴をおろすには?いつがいいの?
夜に靴をおろす事に関しての迷信は、よく分かったと思います。
こういった迷信を聞いてしまうと、どうしても夜に靴をおろすのが怖くなった人もいるかもしれません。そうでなくとも、朝出かけるときに靴をすぐに履きたい人も、いつにおそろうか悩みますよね。
では、新しい靴はいつおろせばいいのかについても紹介します。
午前中
新しい靴をおろす良いタイミングとされているのは、日中や午前中とされています。
午前中のような陽のあたる時間帯は、1日の始まりを示しています。この1日の始まりにしておきたいのが、お供え物です。
お供え物を神様に与え、その後に自分でいただく事で神聖なものを身体に取り込めるという習わしのようなものです。
ここで注目したいのが新しいもので、これは靴をおろすのにも適しています。
要は、お供えものの状況を靴をおろす事に例えると、非常に縁起が良いと思いませんかという話なんです。なので新しいものを使うために準備するなら、朝にしてみるのが良いのかもしれません。
家の外で履く
新しい靴をおろすときは、家の外で履くのが良いとされています。
なぜかというと、葬式の出棺と深く関係しているからです。お葬式の出棺の際には、靴を履いたまま家を出ますよね。
こういった死に関するイメージは縁起が悪いので、家で履くのではなく外で履く事でイメージを払しょくさせるのです。
なので家から1歩出てから、新しい靴を履いてみるのが良いでしょう。
縁起が良い日
新しい靴をおろすタイミングとして良いとされているのが、縁起の良い日です。
これも、先程から紹介している死や悪しきものと切り離すためには必要な事とされています。そのため新しい靴をおろすなら、大安や先勝などのような縁起の良い日をおすすめします。
縁起の良い日に新しい靴をおろせば本当に縁起が良いでしょうし、その逆もまた然りです。
もしかしたら縁起の悪い日に新しい靴をおろしてしまうと、それだけで不運なイメージがついてしまうかもしれません。
晴れの日
もう1つ新しい靴をおろすのに良いタイミングは、晴れの日です。
これは、雨の日だと新しい靴が汚れるからという事を考慮したからではありません。実は、雨の日に新しい靴をおろすのも縁起が悪いとされているからなんです。
なのでそういった意味を踏まえて、雨の日に新しい靴をおろすのは避けたほうが良いとされているんです。
こういった迷信を抜きにしても、やはり晴れの日の方が新しい靴をおろして気持ちが良いですよね。
そんな二重の意味を考えて、新しい靴をおろすタイミングを見計らうのも吉です。
靴を踏んでもらう
他にも、新しい靴をおろしたときは靴を踏んでもらうのが良いといわれています。
というのも、「新しい靴だと怪我をしやすいから」という事で、踏んでほぐす意味合いを込めているんです。一見嫌がらせみたいに思えますが、実際は靴の持ち主の安全を考えてくれているわけですね。
海外ではよく行われていて、例えばバスケットのバッシュなどもこういった意味合いを含んで踏む事があります。
どうしても夜に靴をおろしたいとき!2つの対処法
夜に靴をおろす迷信を信じない人もいますが、どうしてもこういった迷信を信じてしまう人もいますよね。
怖いとかではなく、周囲にそういった迷信に関して敏感な人がいて、こちらも気にしなければならない人もいると思います。そういった中、どうしても夜に靴をおろさなければならなくなった場合はどうすればいいのでしょうか?
どうしても、夜に靴をおろすときの対処法についても紹介します。
①水性ペンで×印をつける
夜に靴をおろすときの対処法1つめは、水性ペンでバツ印をつける事です。
これは一体どんな効果があるかというと、簡単な魔よけの一種なんです。この世の中の色んな事に対し、その場やその状況に合わせて印をつけるのは魔よけの効果があるといわれています。
その中の1つに、靴にバツ印をつけるという方法があるんです。
このバツ印はどこでもいいのですが、靴は地面を踏むので靴の底や裏が良いといわれています。
②底をあぶったり、消したマッチのすすをつける
夜に靴をおろすときの対処法2つめは、靴の底をあぶったり、消したマッチのすすをつける事です。
なぜ靴の底をあぶったり、消したマッチのすすをつけるのかというと、ある1つの共通点があります。それが、火による魔よけです。
古来より人は、火を使う事で様々な魔よけを行っています。それは今も有効的な手段で、靴の場合は底をあぶるか、灰をつける事で魔よけを成り立たせるんです。
ただ新しい靴の底をあぶるのは辛いですし、すすや灰を用意するのも手間がかかるので色々難儀といえますね。
まとめ
今回は、なぜ夜に靴をおろすのがダメなのかについて紹介しましたが、参考になったでしょうか?
昔から色んな迷信などで、不吉な事が多いだとか、なにかをしてはならないというのは多いですよね。信じるのも良いでしょうし、もちろん信じないのも良いと思います。
ですがもし気になるのならば、少し気にかけてみるのも悪くはありません。もし夜に靴をおろそうかと迷ったときは、ぜひとも今回紹介した内容を参考にしてみてくださいね。