野菜の中で、比較的安価で売られていて、栄養価のあるものとしてキャベツは有名です。
しかし野菜でよくあるのは、加熱する事で栄養価自体が変わってしまうという問題です。多くの野菜は、残念ながら加熱すると栄養価が失われる事が多いですが、キャベツは一体どうなるのでしょうか?
今回は、キャベツの栄養価や加熱をしたときと生の栄養価についての違いを紹介します。
キャベツの栄養成分について
そもそも、キャベツ自体にはどんな栄養価が含まれているのでしょうか?
普段何気なく口にしているキャベツですが、どんな栄養価が含まれているか知らない人の方が多いですよね。
よく食物繊維などが多いと聞きますが、はたしてそれは本当なのでしょうか?
まずは、キャベツの基本の栄養成分について紹介します。
キャベツはビタミンが豊富
キャベツの栄養価の特徴として、ビタミン類が豊富なのが挙げられます。
特にビタミンCが多く含まれており、そのビタミンCの数は他の野菜と比べてもかなり多いです。およそ100gで、ビタミンCが41mgも含まれているので、かなり多い事は確かです。
もっと分かりやすく説明すると、キャベツに含まれるビタミンCは、レモン1個分とそう変わりありません。
レモン1個から摂れるビタミンCは、大体50mgが平均といわれています。10mgほど違いはありますが、あのビタミンC豊富なレモンと変わりないなら、相当な量だと分かりますよね。
他にも、ビタミンKというビタミンも78μgほど含まれています。
なんちゃってビタミンも含まれている
キャベツにはビタミンが豊富ですが、他にもちょっと面白い栄養素が含まれています。
その面白い栄養素というのが、ビタミンUという栄養素です。このビタミンUはなんなのかというと、ビタミン類ではないビタミン類と同じ働きをする栄養素といわれています。
つまり、「なんちゃってビタミン」というもので、別名でキャべジンともいわれます。
キャべジンはキャベツの他にも、トマトやブロッコリーにも含まれますが、圧倒的にキャベツに多く含まれます。ビタミンと似た働きをするので、ビタミン不足を補うにはもってこいの栄養素というわけです。
他にもこのキャベジンは、胃腸を正常に保つ効果や、アレルギー症状を緩和させる効果もあります。
キャベツを加熱すると栄養価はどうなる?
よく野菜は加熱すると、元々持っていた栄養価が下がるというのは聞いた事があると思います。
残念ながらそれは事実で、実際加熱する事で栄養価を失ってしまう野菜は多いんです。またキャベツもその例外ではなく、加熱すると栄養価は変わってしまいます。
続いて、加熱した場合どれくらい変わってしまうのかについて紹介します。
茹でる
キャベツを茹でると、かなりの栄養価が失われてしまう事が分かっています。
キャベツにはビタミンCが多く含まれていますが、このビタミンは水溶性ビタミンなんです。水溶性ビタミンとは、そのままのとおりで水に溶けてしまうビタミンの事を指します。
となると、加熱の中でも茹でてしまうと、キャベツは栄養源のほとんどであるビタミンCを失ってしまうわけです。
他にも、キャベツにはカリウムも含まれていますが、このカリウムもかなり熱に弱い栄養素です。なので、キャベツは茹でてしまうとほとんどの栄養素が失われるので、注意が必要です。
炒める
今度はキャベツを炒めた場合ですが、結論からいうと茹でるよりかは栄養素が残ります。
というのも、基本炒めるときは油を使うので、水という成分は関係ありません。そのため、キャベツの中に含まれる水溶性ビタミンが減る事はないといってもいいでしょう。
しかしそのぶん、カリウムなどは熱に弱いため、炒めるとほぼ残っていません。他にも、先程紹介したキャベジンも加熱に弱いという弱点があります。
ただビタミンKは油に溶けやすく熱に強いため、栄養素が残りやすいという強みがあります。
とはいっても、過度な加熱はほとんどの栄養素を取り払うようなものなので、やりすぎは危険といえるでしょう。
生のままのキャベツ栄養価を5つ紹介
先程、キャベツの栄養価を紹介しましたが、実は生のキャベツだと栄養価がちょっと違ってきます。
元々ビタミン類の多いキャベツですが、生の場合だと一体どのような栄養価が含まれているのでしょうか?
先程の内容と併せて、今まで紹介できなかった、生のままのキャベツの栄養価についても紹介します。
①ビタミン類
生のキャベツに含まれる栄養価1つめは、ビタミン類です。
先程も紹介しましたが、キャベツには多くのビタミン類が含まれています。ビタミンCやビタミンKなどが多く含まれますが、特にビタミンCにはある弱点があります。
それが、水溶性ビタミンと呼ばれるもので、茹でたりすると水に溶けてしまいます。そのため、キャベツの栄養価の代表と呼ばれるビタミンCは生で摂らなければほぼ意味がありません。
ただビタミンが溶けだしたものを飲めば、多少失ったビタミンを摂取できます。効率的に考えると、やはりキャベツを生で食べた方がビタミン類を多く摂れるのは事実です。
②葉酸
生のキャベツに含まれる栄養価2つめは、葉酸です。
葉酸という成分は、栄養素で分けるとビタミンB群の一種に分類されます。葉酸は簡単にいうと、新しいものを形成するときに必要な栄養素です。
そのため、妊娠初期や妊娠した後にも必要な栄養素として知られています。ですがこの葉酸も熱に弱い性質で、水にも溶けやすいという弱点があります。
これらを踏まえると、キャベツに含まれる葉酸はほぼ生のキャベツだからこそ摂取できる栄養素といってもいいでしょう。
③食物繊維
生のキャベツに含まれる栄養価3つめは、食物繊維です。
よくレタスや、緑黄野菜などには食物繊維が含まれていますが、もちろんキャベツにも食物繊維は含まれています。
100gあたり1.8gとまぁまぁな量で、食物繊維を摂取するならキャベツを摂るのも良い方法です。実際、「キャベツを食べるようになってから便通がよくなった」という声も存在します。
なので他の野菜などでも足りない場合は、キャベツを食べてみるのも効率的ともいえます。
④カリウム
生のキャベツに含まれる栄養価4つめは、カリウムです。
カリウムは、生命維持のためには必要だといわれている栄養素の1つです。細胞の動きを調整するための源になりますが、もっとも便利なのが無駄な塩分を外へ排出してくれます。
そのため、高血圧予防などに効果的で、動脈硬化などの予防にもなります。
若いうちだけでなく、年齢を重ねていくうちに食べておくと非常に健康に良いともいえます。
⑤キャベジン
生のキャベツに含まれる栄養価5つめは、キャベジンです。
先程も紹介しましたが、このキャベジンというものはビタミンUといわれるものです。ビタミンUはビタミン類ではないですが、ビタミン類と同じ働きをしてくれます。
そのため、様々なビタミンをわざわざ組み合わせずとも、このビタミンUだけでも色々と効果はあるんです。
ですが、キャベジンは熱に弱い特性を持っています。その点を考えると、このキャベジンは生のキャベツで摂取するからこそ、力を発揮する栄養素ともいえるんです。
なので、このキャベジンを摂りたい場合は、生で食べた方がいいといえるでしょう。
キャベツの栄養を効率よく摂取できる料理を3つ紹介
ここまで紹介した内容を見て、大半の人は調理次第で野菜の栄養価の摂り方が変わると気付いている人も多いと思います。
はっきりいうと、野菜それぞれによって、効率よく摂れる料理は違います。では、キャベツの場合は一体どのような料理が効率良く栄養を摂れるのでしょうか?
最後に、キャベツの栄養を効率よく摂取できる料理について紹介します。
①塩だれキャベツ
キャベツの栄養を効率よく摂取できる料理1つめは、塩だれキャベツです。
この塩だれキャベツというのは、よく居酒屋などで出てくるあの生キャベツの事です。キャベツはビタミン類やキャベジンの事を考えると、生で食べた方が効率よく栄養を摂れます。
何より、この塩だれキャベツの作り方もかなり簡単です。キャベツをちぎって、後はポリ袋にごま油、鶏がら、塩、しょうゆ、にんにくをいれて揉むだけと楽に作れます。
お酒のおつまみにもなりますし、味の濃さによってはおかずにもなるので、かなり万能な料理です。
②キャベツのスープ
キャベツの栄養を効率よく摂取できる料理2つめは、キャベツのスープです。
キャベツに含まれるビタミン類は、水溶性ビタミンなので熱に溶けやすい弱点があります。ですが、茹でた汁を飲んでしまえば、その失ったぶんのビタミンをある程度摂れるんです。
そこでおすすめしたいのが、キャベツのスープです。
こちらも作り方は簡単で、具材によってはかなり栄養価が増します。ただ鍋でにんじんなどと一緒に煮込み、コンソメを追加して煮込むだけなので非常に簡単です。
これにアレンジで卵を追加したりする事で、またバリエーションも増えます。
③ロールキャベツ
キャベツの栄養を効率よく摂取できる料理3つめは、ロールキャベツです。
ロールキャベツは一見カロリーが高そうに思えますが、実はカロリーは低めです。しかもアレンジがききやすく、風味を変えられたり、中に包む具材も自在に変えられます。
またキャベツを茹でた汁を混ぜる事で、逃したビタミンを摂る事もできます。ただ少し調理工程が難しい上に、かなり手間がかかる料理です。
なので時間があったり、元々料理が得意だとか趣味な人向けの料理といえます。
まとめ
今回はキャベツの栄養価について紹介しましたが、参考になったでしょうか?
キャベツは栄養価が高いですが、そのぶん加熱に弱い繊細な野菜の1つです。ただ調理方法によっては、逃した栄養素を取り戻す事もまた可能です。
なので加熱するのもいいですし、そのまま生で食べたり、栄養の摂り方は個人の自由にできます。もしキャベツの栄養が気になった人は、ぜひとも今回紹介した内容を参考にしてみてくださいね。